帯状疱疹
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、体の片側にピリピリとした刺すような痛みが生じ、その後に赤い発疹と水ぶくれ(水疱)が帯状に現れる疾患です。
多くの場合、胸から背中、あるいは顔や首まわりなど、神経の流れに沿って症状が出現します。日本では、成人の約3人に1人が80歳までに経験すると言われている非常に身近な病気です。
帯状疱疹の原因
原因は、多くの人が子供の頃に感染する「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。
初めて感染したときは水ぼうそう(水痘)として発症しますが、治った後もウイルスは消滅せず、体内の神経節に一生の間、潜伏し続けます。
加齢や過労、強いストレス、あるいは他の疾患によって体の免疫力が低下した際、眠っていたウイルスが再び活動を開始し、神経を伝わって皮膚に到達することで帯状疱疹を引き起こします。
帯状疱疹の症状
初期段階では、皮膚に違和感やピリピリ、チクチクとした痛みを感じることが多く、その数日後に赤い斑点や小さな水ぶくれが群れをなして現れます。
体の片側だけに現れる
神経の走行に沿って出るため、真ん中を境に左右どちらか一方だけに症状が出るのが大きな特徴です。
強い痛みを伴う
神経がダメージを受けるため、ズキズキとした鋭い痛みや、焼けるような痛みを感じることが一般的です。
合併症のリスク
顔面(特に目の周りや耳の周り)に発症した場合、視力低下や顔面神経麻痺、難聴などの合併症を引き起こす可能性があるため、速やかな専門的治療が必要です。
帯状疱疹の治療方法
帯状疱疹の治療において最も大切なのは、「できるだけ早く治療を開始すること」です。
抗ウイルス薬による治療
ウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬」の内服を行います。発症から3日以内(遅くとも5日以内)に服用を始めることで、症状の重症化を防ぎ、治癒までの期間を短縮することができます。
鎮痛薬の使用
神経の痛みを和らげるために、消炎鎮痛薬や神経痛専用の治療薬を処方します。
帯状疱疹後神経痛(PHN)への対応
皮膚の症状が消えた後も、数ヶ月から数年にわたって痛みが残ってしまうことを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼びます。高齢の方ほどこの後遺症が残りやすいため、初期段階でしっかりとウイルスを叩くことが重要です。
予防・日常のケアと予防
安静と栄養
免疫力が低下しているサインです。無理をせず、十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を心がけ、体を休めてください。
患部を冷やさない
痛みは冷やすと強くなる傾向があるため、使い捨てカイロや温かいタオルなどで患部を適度に温めると痛みが和らぐことがあります。
水ぼうそう未経験者への接触を避ける
帯状疱疹として他人にうつることはありませんが、水ぼうそうにかかったことがない人(特に乳幼児)には、水ぼうそうとして感染させる可能性があるため、接触は控えましょう。
50歳以上の方は、ワクチン接種によって発症を予防したり、発症しても重症化や後遺症(PHN)を防ぐことが可能です。当院では以下の2種類のワクチンを取り扱っております。
- 生ワクチン(ビケン):1回の接種。費用が比較的安価ですが、予防効果は数年で徐々に低下します。
- 不活化ワクチン(シングリックス):2回の接種(2ヶ月間隔)。予防効果が非常に高く、9年以上の長期持続が確認されています。
帯状疱疹の初期症状と経過
帯状疱疹は、皮膚に変化が出る前から予兆があることが多く、早期発見が治療のカギとなります。
1.皮膚の違和感・痛み(発症前〜数日間)
いきなり発疹が出るのではなく、まずは皮膚の表面にピリピリ、チクチク、あるいはズキズキとした痛みや違和感が生じます。この段階では見た目に変化がないため、虫刺されや筋肉痛、神経痛と勘違いされることも少なくありません。
2.赤い発疹の出現
痛みを感じていた場所に、虫に刺されたような赤い斑点(紅斑)が現れます。この発疹は体の中心線を境にして、右側か左側のどちらか一方だけに帯状に広がるのが大きな特徴です。
3.水ぶくれ(水疱)の形成
赤い発疹の上に、小さな水ぶくれが群れをなして現れます。水ぶくれはやがて黄色っぽい膿(うみ)を持つようになり、その後1週間ほどで破れてただれた状態(びらん)になります。
4.かさぶた・治癒(2〜4週間)
発症から2週間ほど経つと、患部が乾燥してかさぶた(痂皮)になり、徐々に剥がれ落ちて治癒に向かいます。
帯状疱疹の受診の目安
「ただの肌荒れかな?」と様子を見ている間に、ウイルスは神経を攻撃し続けます。以下のような症状があれば、すぐに皮膚科を受診してください。
- 体の左右どちらか一方だけに、痛みや違和感がある
- ピリピリ、チクチクとした神経痛のような痛みの後に、赤いブツブツが出てきた
- 顔や目の周りに発疹が出た(視力障害や顔面麻痺のリスクがあるため緊急を要します)
- 耳の周りに発疹が出て、めまいや難聴を感じる
