湿疹
湿疹について
湿疹(皮膚炎)は、皮膚の表面に生じる炎症の総称であり、赤み、かゆみ、細かなブツブツ、あるいは小さな水ぶくれなど、多様な症状を伴うのが特徴です。
こうした皮膚の異変は、外部からの刺激や体内の不調に対して、皮膚が起こす防御的な反応の一種です。一時的に現れる「急性湿疹」の段階で正しく対処することが重要で、そのまま放置したり掻き壊したりしてしまうと、皮膚が硬く厚くなる「慢性湿疹」へと変化し、治療が長期化する原因となります。
湿疹の原因
湿疹が発生するメカニズムには、外部からの直接的な刺激(外的要因)と、その人の体質や健康状態(内的要因)の2つが深く関わっています。
外的要因
石鹸、洗剤、化粧品、植物、特定の金属、ハウスダスト、ダニ、紫外線、衣類による摩擦など。
内的要因
肌の乾燥(バリア機能の低下)、発汗、アレルギー体質、内臓疾患、精神的なストレス、睡眠不足など。
これらが複雑に絡み合うことで、皮膚のバリア機能が耐えきれなくなり、炎症として表面化します。
湿疹が出る疾患
湿疹を主症状とする代表的な疾患には、主に以下のものが挙げられます。
アトピー性皮膚炎
もともとのアレルギー体質や皮膚のバリア機能の弱さが背景にあり、強いかゆみを伴う湿疹が慢性的(乳幼児期からなど)に繰り返される疾患です。
脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌が多い場所(鼻の脇、眉間、頭皮など)が赤くなり、カサカサとしたフケのようなものが出る湿疹です。皮膚に常在するマラセチア菌(カビ)の増殖が関与しています。
汗疹(あせも)
汗疹(あせも)は、湿疹とよく似た症状を呈する疾患です。大量に汗をかいた際、汗の通り道(汗管)が詰まって皮膚の内側に汗が溜まり、炎症を引き起こすのが主な原因です。赤いポツポツとした発疹、強いかゆみ、そして特有のヒリヒリとした痛みなどが主な特徴として現れます。
乳児湿疹
特に生後2〜3週間から2ヶ月頃にかけて発症しやすく、主な原因には、過剰な皮脂分泌や未発達な肌のバリア機能、さらにはアレルギー反応などが挙げられます。
症状としては、おでこや頬を中心に、顔や体へ赤いポツポツとした発疹やカサカサした乾燥が現れます。また、よだれやオムツによる刺激で起こる「接触皮膚炎(かぶれ)」も、広い意味ではこの乳児湿疹に含まれます。
接触皮膚炎(かぶれ)
特定の物質に触れたことで、その部位に赤みや腫れ、かゆみが生じる反応です。原因となる刺激物やアレルゲンに接触した場所にのみ現れるのが特徴です。
貨幣状湿疹
硬貨(コイン)のような円形の湿疹が手足などに現れるものです。強いかゆみを伴い、特に冬場の乾燥した肌に細菌感染などが加わって発症しやすくなります。
手湿疹(主婦湿疹)
水仕事が多い方に見られる手の湿疹です。水や洗剤の刺激で皮膚のバリアが壊れ、乾燥して指先が割れたり、赤みや小さな水ぶくれができたりします。
湿疹の予防・日常のケアについて
湿疹を未然に防ぎ、悪化を食い止めるためには、日々の生活環境を整えることが欠かせません。
保湿
乾燥は皮膚のバリア機能を著しく低下させます。毎日の入浴後など、肌の水分が逃げやすいタイミングで保湿剤を塗り、外部刺激から肌を守る力を補いましょう。
低刺激性のスキンケア
肌が敏感になっているときは、香料、着色料、防腐剤などが含まれない、刺激の少ないスキンケア用品を選ぶことが重要です。
適切な洗浄
体を洗う際は、洗浄力が強すぎる石鹸や、ナイロンタオルで肌を擦る行為は控えましょう。石鹸をしっかり泡立てて手で優しく洗い、ぬるま湯で丁寧にすすいでください。
爪を短く切る
かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、皮膚が傷ついてさらなる炎症を招きます。肌へのダメージを抑えるため、爪は常に短く滑らかにしておくことが大切です。
衣服
肌に直接触れる下着などは、通気性が良く低刺激な「綿(コットン)」や「絹(シルク)」などの天然素材が推奨されます。
ストレスを避ける
心身の疲労やストレスは免疫バランスを乱し、肌トラブルを引き起こします。十分な睡眠と適度な休息を心がけ、心身を健やかに保つことが湿疹の予防に繋がります。
湿疹と発疹の違いについて
「発疹(はっしん)」とは
皮膚に現れる目に見える変化(赤み、ブツブツ、水ぶくれ、皮むけなど)全般を指す総括的な言葉です。
「湿疹(しっしん)」とは
発疹の中でも「かゆみを伴い、皮膚の表面で炎症が起きている状態」を指す、より具体的な症状の名称です。つまり、大きな枠組みとしての「発疹」の中に、炎症性のトラブルである「湿疹」が含まれているという関係になります。
