疥癬
疥癬について
疥癬とは、「ヒゼンダニ(別名:セコムシ)」という極めて小さなダニが皮膚の最外層である角質層に寄生することで起こる皮膚の感染症です。非常に強いかゆみを伴うのが特徴で、人から人へと感染が広がるため、早期の発見と適切な対処が重要となります。
疥癬の原因
原因は、体長約0.2〜0.4mmのヒゼンダニの寄生です。 主に感染者との肌と肌が直接触れ合う「接触感染」によってうつります。また、通常の疥癬よりもダニの数が爆発的に多い「角化型疥癬(集団感染のリスクが高い重症型)」の場合は、剥がれ落ちた皮膚の落屑(フケのようなもの)や、衣類・寝具を介して間接的に感染することもあります。
疥癬の症状
主な症状は、夜間に眠れなくなるほどの激しいかゆみと、皮膚に現れる赤いブツブツ(丘疹)です。
疥癬トンネル
ヒゼンダニのメスが角質内に卵を産み付けながら進んだ跡で、手のひらや指の間、手首などに数ミリの線状の盛り上がりとして見られます。これは疥癬特有の症状です。
結節
男性の場合、陰嚢(いんのう)などに赤茶色の硬いしこりができることがあります。
全身の皮疹
胸やお腹、太ももの内側など、皮膚の柔らかい部分に強いかゆみを伴う赤い発疹が広がります。
疥癬の治療
治療は、ダニを駆除するための「殺ダニ剤」の使用が中心となります。
外用薬
首から下の全身に塗り薬(フェノトリンなど)を塗布します。塗り残しがないよう、指の間や爪の間まで丁寧に行う必要があります。
内服薬
イベルメクチンという飲み薬を服用します。体重に合わせて適切な量を服用し、通常は1週間〜2週間おきに計2回程度服用します。
かゆみ止め
激しいかゆみに対しては、補助的に抗ヒスタミン薬の内服などを併用し、症状を和らげます。
疥癬の予防・日常のケアについて
感染拡大を防ぐために、日常生活では以下の点に注意が必要です。
接触を控える
診断されたら、治療が完了するまで他者との直接的な肌の接触を避けます。
衣類・寝具の熱処理
ヒゼンダニは熱に弱いため、使用した衣類やシーツは50℃以上のお湯に10分以上浸すか、乾燥機にかけるのが効果的です。
こまめな掃除
部屋に落ちた皮膚の破片(落屑)から感染するのを防ぐため、掃除機を丁寧にかけて清潔を保ちます。
周囲への確認
同居家族や介護施設の同室者に同様の症状がないか確認し、疑わしい場合は早めに受診を促してください。
疥癬を放置するとどうなる?
放置すると、自分自身の症状が悪化するだけでなく、周囲の人へ感染を広げ続ける原因となります。 特に高齢者や免疫力が低下している方の場合、ダニが数百万匹以上に増殖する「角化型疥癬」へ移行する恐れがあります。この状態になると、全身の皮膚が岩のように分厚く硬くなり、感染力が極めて強くなるため、集団感染を引き起こし、隔離治療が必要になるなど事態が深刻化してしまいます。「ただのかゆみ」と自己判断せず、早めに皮膚科専門医を受診することが大切です。
